【奈良】大和路の風情を残す佐保路の観音像と五重小塔で有名な海龍王寺

奈良公園周辺の世界遺産の構成要素の興福寺・東大寺・春日大社・元興寺等は、京都と同様に多くの外国人観光客が押し寄せ、ゆっくりと古都奈良・大和路の風情を楽しめる状態でなくなっています。
しかし古都奈良の中でも、静かに奈良・大和路の風情を味わえる所が残っています。
その一つが平城宮跡の北側を東西に結ぶ佐保路と言われるエリアです。
本記事では、この佐保路にある海龍王寺を紹介したいと思います。

概要

名称

海龍王寺

奈良県、海龍王寺の外観

所在地

奈良県奈良市法華寺町897

アクセス

・JR奈良駅または近鉄奈良駅から大和西大寺駅・航空自衛隊前行バスで11~14分、法華寺前バス停下車すぐ
・近鉄奈良線新大宮駅から徒歩15分

こんな人にお勧め

古都奈良の風情をゆっくりと楽しみたい人
古都奈良の歴史に触れたい方等
大人の方の散策に最適です。

滞在時間

1時間程度

費用

拝観料:
大人  500円
中高生 200円
小学生 100円

アピールポイント

この海龍王寺は光明皇后ゆかりのお寺で、歴史の古い寺院です。
本尊は十一面観音像で、佐保路にある不退寺、法華寺の観音様と合わせて三観音を巡られるのがお勧めです。
また海龍王寺には堂内五重小塔があり、これは元興寺にある五重小塔と共に国宝に指定されており、貴重なもので一見の価値があります。

海龍王寺の創建概要と見どころ

海龍王寺の創建の概要

海龍王寺は、元々は藤原不比等の邸宅でした。
藤原不比等の娘である光明皇后がこれを相続し、皇后宮となりました。

この皇后宮の敷地内の北東隅には小さな寺院がありました。
この寺院を基に、遣唐使であった僧玄昉が無事に帰国する事を祈念して731年に整備されたのが、海龍王寺の始まりと伝えられています。
光明皇后は聖武天皇と同様に仏教に厚く、玄昉が唐から無事に帰国をし、最新の仏法を持ち帰ってくれる事を切望されていたのです。

現在の海龍王寺の伽藍

現在の寺院の境内には、本堂と西金堂と経堂が建つだけの小さな寺院です。
この本堂は17世紀に建てられたもので、また西金堂は奈良時代の木材等を使用して昭和時代に大修理が行われたものです。
建造物としては、西金堂と経堂が重要文化財に指定されています。

海龍王寺の見どころ1.十一面観音立像

本堂内には、本尊の十一面観音立像が祀られています。
この観音様は、光明皇后自らが彫られた観音様を鎌倉時代に仏師により造立されたと言うもので、重要文化財に指定されています。

海龍王寺の見どころ2.五重小塔

西金堂内には国宝の五重小塔が安置されています。
この五重小塔は4mほどのまさに小さなものですが、工芸品として国宝に指定されているのではなく、建築物として国宝に指定されています。

奈良県、海龍王寺の五重小塔

この五重小塔は、創建当初から西金堂に安置されており、現在は跡地のみしかありません。
創建当時には東金堂内に、これと対をなす五重小塔が安置されていました。
この小塔は小振りながら奈良時代の建築様式を知る上で貴重なものである事から、国宝に指定されているのです。

この五重小塔は境内が狭いために、立派な伽藍配置の東塔や西塔を建立する事が出来なかったため、東西の金堂内にそれに代わる小さな五重塔を造り、安置されたそうです。

西金堂内には入れませんが、開かれた扉から内部に安置されているのを拝観する事が可能です。

まとめ

海龍王寺のみの拝観は1時間余りで終える程度なので、先に記載した佐保路の三観音が安置されている寺院と合わせて巡礼されると良いでしょう。
また、世界遺産の構成要素である平城宮跡が近いので、ここと併せて訪れられるのもお勧めです。
鄙びた奈良大和路の風情と、古の奈良の都の面影を残す佐保路の旅をぜひ楽しまれると良いでしょう。

※この記事は2016年10月に行った際の体験談です。(70代前半/男性)