長谷寺は奈良大和の花の御寺として、西国三十三カ所の第八番札所として、古くから信仰を集めて来た寺院です。
花の寺として、観光客も多数訪れる寺院ですが、境内には現在も約60名の僧侶が居られ、「僧侶の息づく寺」及び「読経の漂う寺」として、厳粛な雰囲気も漂う寺院です。
四季折々の風情を楽しみながら、巨大な観音様に出会い、境内を散策するのがお勧めの寺院です。
概要
名称
大和国 長谷寺
所在地
奈良県桜井市初瀬731-1
アクセス
近鉄大阪線長谷寺駅から徒歩15分(駅からタクシーあり)
こんな人にお勧め
お寺の参道の雰囲気を楽しみ、また広い境内を四季折々の自然に触れながら散策したいと思われる方。
滞在時間
2~3時間
費用
入山料
大人(中学生以上) 500円
小学生 250円
アピールポイント
長谷寺は奈良市内の観光化された寺院の様に外国人観光客は少なく、比較的ゆっくりと奈良大和の風情を感じる事が出来る寺院です。
また寺院の手前の参道商店街は、どことなく懐かしさを感じさせる雰囲気を醸し出しています。
ゆっくりと散策するのに最適な観光スポットと言えます。
長谷寺の魅力と見どころ
奈良大和の花の御寺と言われる長谷寺は、四季折々に境内の花や自然風景を楽しむ事が可能です。
12月下旬から1月下旬までの冬には、藁で覆われた寒牡丹が境内を鮮やかに彩ります。
3月下旬から4月中旬にはしだれ桜150本・山桜300本・染井吉野300本・奈良八重桜100本の桜が境内を薄ピンク色に埋め尽くします。
また4月下旬から5月上旬には本堂に向かう登廊から、150種7,000株もの牡丹の花が参拝者を迎えます。
さらに11月中旬から12月上旬には紅葉が全山を紅色に染め上げます。
長谷寺には歴史的建造物も多数ありますが、何と言っても特徴的なのは京都清水寺と同様の舞台造の本堂と、そこに至るまでの登廊です。
本堂は徳川家光によって再建されたもので、国宝に指定されています。
この本堂には高さ10mにも及ぶ重要文化財の本尊の十一面観音像が安置されています。
この観音像は木造としては日本最大級のものです。
本堂の内陣の板の間は磨き上げられ、初夏には青モミジの緑色が、紅葉に季節には赤色を映し、非常に幻想的です。
また舞台造の本堂外陣からは鬱蒼としたモミジの木々の中に、朱塗りの五重塔が望まれ、素晴らしい眺望を楽しむ事が出来ます。
さらに仁王門から本堂へと続く重要文化財の登廊は399段の石段で、天井には楕円形の灯籠が吊られ、独特の風情を感じる事が出来ます。
長谷寺を散策される順路としては、入山料を払い、まず仁王門から登廊を経て本堂にお参りします。
そして帰路には、本堂に北側から大国堂・御影堂・本長谷寺・五重塔を経て、院内坊が建ち並ぶエリアを経て下山されるのがお勧めです。
また健脚の方なら、奥の院に当たる陀羅尼堂を経て下山されても良いでしょう。
関東にお住まいの方にとっては、今回紹介している奈良県の長谷寺よりも、鎌倉の長谷寺の方が馴染み深いかもしれません。
最後にこの奈良と鎌倉の長谷寺に纏わる話を紹介しておきます。
長谷寺と称する寺院は、実は全国には300カ寺もあるそうです。
奈良と鎌倉の長谷寺の関係については、奈良の長谷寺では単に名前が同じ寺に過ぎず、関係性はないと話されています。
一方の鎌倉の長谷寺では、大和国初瀬の山中で見つけた楠の巨大な霊木から二体の観音像が造られ、その一体が今回紹介した奈良県の長谷寺の観音像となり、他の一体が衆生済度の願いを込められ海に流され、それが後年鎌倉の長谷寺を建立して安置されたと伝承されています。
これは私見ですが、鎌倉の長谷寺が奈良の長谷寺との関係性を逸話として伝えるほど、当時は奈良の長谷寺が有名で、多くの信仰を集めていた証であると感じます。
まとめ
奈良大和の花の寺、西国三十三カ所の八番札所の長谷寺には、奈良市内の寺院とは違って静かで厳粛な雰囲気も残されており、大人の散策・観光スポットとしてお勧めです。
※この記事は2018年5月に行った際の体験談です。(70代前半/男性)